和歌山市立博物館で本日まで開催の「桑山玉州展」に行ってきました。
和歌山市立博物館は、南海電車の和歌山駅から歩いて5分ほどのところにあります。台風が日本に接近していた日で、往路はどしゃぶり、5分ほどの道のりながら、傘をさしていてもびしょぬれ・・・ そのうえ、帰りはカンカン照り。豪雨と暑さで博物館の写真を撮り忘れました・・
桑山玉洲(1746−1799)は紀州出身の文人画家として知られています。和歌浦で廻船業・両替商を営む家に生まれた彼は、幼少から独学で書画の研究を重ねました。やがて池大雅や木村蒹葭堂といった当時第一級の文化人らと親交を深め、独自の絵画世界を築きました。また画論家としても知られ、『絵事鄙言』や『玉洲画趣』などの優れた画論書を著しています。展覧会では桑山玉洲の作品と画論をはじめとする関係資料あわせて約120点を展観し、彼の残した足跡をたどります。
ポスターのコピーは「江戸時代、和歌山にすごい藝術家がいた・・・・」。
どこかで聞いたようなコピーですが、まあ、いいよね。かわゆい虎図も隣の繊細で美しい雪山図も、ポスターにはいいチョイスだなあ〜、玉州について何も知らなくてもちょっと行ってみたくなるじゃござんせんか?
展示場には、穏やかでよい絵が並んでいました。
水墨画だけでなく、初期の動物、花鳥画がまたよいのです。
馬の絵は、今回収集家の蔵から発見されたという初公開作品。
ポスターにもある虎の絵は、構図自体は新しいものではないのですが、描いたひとのお人柄がやはり見えるのかな・・ 京都のプライスコレクション展のチラシになってる若冲の虎とも一味違います。
この時代、虎をみたことのない絵師たちは、中国の虎図や虎の毛皮や猫を参考にしたりして描いたのだとか。金毘羅さんの応挙の虎なんて、ありゃカンペキ猫だった♪
蝶を見上げる親子猫の図も、かわゆい〜。
水墨画のコーナーでは、紀州、和歌浦や熊野を描いたものなどは、見ていてもほほえましい。学芸員さんによると、風景のなかに小さく描かれた二人の人物は、玉州と友人だろうとのこと。
圧巻は、代表作の「雪山キン客図」(ポスターの左側)。胡粉を吹墨で飛ばして描いており、とこどこに赤が効果的に使われている。穏やかながら、その世界に引き込まれるような雪山の絵。
玉州が最も敬愛していた大雅と玉欄のように、奥さんとの合作もありました。へぇ〜 玉州の奥さんはどんなひとだったのでしょうか。
点数はさほどないながら楽しい展覧会でした。学芸員さんが発見したという初公開の自筆の文書も展示されています。研究対象の画家の自筆の画論を発見するって楽しいだろうな〜と想像しておりました。
7月には、小林忠さんのレクチャー「玉州とその時代」があったのだ。聴きたかったな〜
和歌山市立博物館 展覧会のページに玉州の絵の画像がいくつか掲載されています。
しかし、どうして和歌山は、ミュージアムぐるっとパス関西にも、朝日友の会にも、ストリート・アートナビ(和歌山県美のみリンクにありました)にも参加していないのじゃろか・・・(・.・) ミュージアムぐるっとパスのサイトなんて、足立美術館が参加しているので、島根エリアのページはあるのだけど、大阪・奈良のお隣の和歌山県はエリアページ自体ないのじゃよ。費用対効果の問題なのじゃろか? 残念だなあ・・・