滋賀県立近代美術館で開催中の「イサム・ノグチ −世界とつながる彫刻−展」(9月18日まで)に行ってきました。力強く温もりのある彼の作品を堪能した展覧会でした。
これは、横浜美術館と
どこだったっけか?高松よね。3館の企画で開催される展覧会だそうです。大きく重い作品は展示できなかったのですが、初期のテラコッタなど、今まであまり眼にされなかったものも出てるので楽しんでいただけると思います、とは学芸員さんのお言葉です。
イサム・ノグチについては、軽くビビビっと来たのが何年前だったか、大原美術館にさりげなく置かれていた彫刻作品。
それまでは、ノグチについては、日本人の父と米国人の母を持ち、どちらの国にいっても異邦人でありアイデンティティーに悩んだとか、大戦をはさんで両国で苦汁をなめたとか、早くに別れた父との確執に悩んだとか、そういった壮絶な面ばかりが印象に残り、でもって、彼の作る彫刻は眼にする限りぴーんとこないな〜・・・と食わず嫌いでいたのです。
でも、大原美術館で、何を感じたかはうまくは説明できないけれど、その存在感に「おや?」と感じて以来、彼の作品をもう少し見てみたい・・という思いが募りはじめ、おりしも、札幌にはノグチデザインの公園ができ、香川にも彼のアトリエであった記念館があることを知り、紹介されているものを見ると、わたしのイメージしていたものとは違うのですね。和紙の灯りなどとてもやさしい日本的なものもデザインしている。
で、今回の展覧会。開催前から楽しみしており、上記のような浅い知識で出かけたのですが、十二分に楽しめた展覧会でした。ノグチは「彫刻は周囲の空間を活性化させ、人間を取り巻く環境を意味あるものに変える力をもつ」と確信していたそう。巨大な作品はなかったけど、それも納得できる展覧会でした。
展示は、展示室からではなく、エントランス・ロビーから始まります。広島の原爆死没者慰霊碑の1/5模型もここ。この慰霊碑プランがアメリカ人であるがゆえに受け入れられなかったというのは聞いています。
展示室は、よくあるように年代別ではなく、第一章 顔、第二章 神話・民族、第三章 コミュニティーのために、第四章 太陽とテーマ別に分かれています。これについては、
横浜美術館のサイトと
ブログの最初の記事に説明されています。
わたしの行った日は、学芸員さんの日曜美術鑑賞会(展示解説)のあった日、彼の生涯や作品について説明してくださいましたが、とても明るい学芸員さんで、軽妙な語り口での1時間半は楽しい時間でした。
彼の生涯についてはある程度は知っていたものの、進学した医学部で野口英世(親戚ではありません^^;)に、「お父さんのようなすばらしいartistになりなさい」と言われたとか、両親の籍は入っておらず、父にはノグチの名を名乗ることを拒絶されたとか、そういったエピソードは初めて知りました。それに、作品「ラジオ・ナース」は、剣道のお面だとか(ホントだ!)、滋賀県美の所蔵である「幼年時代」は少年のイガグリ頭だとか(ホントだ!)、アカリは岐阜提灯だとか(なるほど・・・)。瀬田のこの美術館は遠いので、レクチャーに参加すると時間かかるな〜とちょっと思案したのですが、行ってよかったです。
イサムノグチの生涯を書かれたドウス昌代さんの講演も9月にあるそう。今回の展覧会ですっかりノグチのファンになってしまったので、行きたいけど遠いな〜・・・・(; ;)
関連の映画「近代彫刻の巨匠たち」も上映されるようですので、これから行かれる方はサイトで予定をチェックしてから行かれたら盛り沢山でより楽しめるのでは?
滋賀県立近代美術館
exite ismの「
もっと知りたいイサムノグチ」
9月29日から11月12日まで高松市美術館に巡回します。
「素顔のイサムノグチ」については、松岡正剛さんの「千夜千冊」にも記事がありました。
コチラ
以下備忘録がわりにとりとめもなく書いてます。